「な、なんでしょう」
完全に動揺してしまったあたしの声は微妙に裏返ったかも、しれない。
「送る」
「え、」
「危ない、と言っただろ」
「いや、あの、」
「なんだ?」
駄目だ、全く意味が分からない。あたしとこの人だって初対面なのに。
「見ず知らずの方に申し訳ないですし」
言葉を選んでも、そう言うしかない。
「大丈夫だ。俺は紳士だから」
クと笑うその微笑が言葉の割にやけに綺麗で、あたしは次の言葉を探す。
「それに、」
その間に、彼の『ニューヨークホットドック』も出来上がって、店員がまた甲高い声で彼に渡してそれを受け取りながら、
「昼間も会ったから初対面じゃないだろ」
目を細めたその瞳と、目尻の泣きボクロにあたしはどうしても声を出せなかった。

