雪ちゃんと下らない話をして数時間。いつの間にか薄暗くなった時間に差し掛かって、旦那さんが帰るらしいから、あたしはさっさと雪ちゃんの家を出た。


『気をつけるのよ、物騒なんだから』


心配性な雪ちゃんは送るから旦那さんが帰るまで待てとか言うけど、何だか面倒くさくてタクシー拾うから、なんて適当な事を言って、やっぱりあたしはブラブラと歩く。


歩いて帰るには少し遠くて、だけど、タクシーを拾うには勿体無い距離、肌寒くなってきたこの季節に、あたしは襟元を立てた。