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「一穂くんは元気?」

大きなおなかを愛しそうに触りながら姉の雪ちゃんは呑気な声をだす。

「うん、相変わらずだよ」

「いいねー、愛されてるよねー」

わざとらしい声をあげる雪ちゃん。

「雪ちゃん、暇なんだね」

あたしはしみじみ呟いて、言葉を茶化す。


「聖はさぁ、感情表現が薄い。もっと、ストレートに愛を表現しなきゃ、捨てられちゃうよ」


年中、熱過ぎる程の馬鹿夫婦の雪ちゃんの言葉は雪ちゃんだから言える事で、他の人に言われたら思わず笑ったかもしれない。それだけ雪ちゃんの表情は真面目だった。