「久しぶり」

「ん」

グラスを鳴らして、京ちゃんの瞳が薄暗い照明にゆらりと光る。


「悩んだ顔してるね」


からかうように笑う目にあたしは疲れたように笑い返す。言うべき言葉は山ほどある気がするのにその一筋も拾えない。


「聖、久しぶりに会えてドキドキしたでしょ」

「してないよ」

「あそ。俺はしたよ」


京ちゃんの何気ない言葉にあたしは落としていた視線を思わず上げた。


「どんな顔して会えば良いか、考えたら緊張した」


細まった目に、ため息まじりの声。


「京ちゃんが?」


嘘でしょ、と言いたくなる。だって、緊張してるのは間違いなくあたしで。


「うん。この俺が」

「ふ」

「笑うとこ?これでも反省してるから」


京ちゃんは抜けた声で疲れたように首の後ろで手を交差させた。