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貴子さんと会った日から、6日。明日が、貴子さんの告げた日。答えも出ていない、何ひとつ変わってないあたしは考える事に疲れて【a】に向かっていた。


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─────マスターが、何も言わずいつものカクテルを置く。軽くウインクして、「あちらの方から」と首を向ける。そのあと、「一度は言ってみたかったんだよね」と笑みを零すのを見て体の力が抜けた。



……そりゃあね、もしかしたら会う事もあるかもしれない、って思ったけど


肩が少し強張る。情けない事に動揺したのが声に出そうで、あたしは唇を噛んだ。


「隣、よろしいですか」

聞こえてきたのはこのカクテルをプレゼントしてくれた人の声に間違いなくて、断ったらどんな顔するのかな、と思った後意味がなくてやめた。



「…聖ってば無反応。本当可愛くないよね~」




京ちゃんは相変わらず間延びした口調で緩く笑ってあたしの隣に腰を下ろした。