「ああ、俺の可愛い人だからね?」


京ちゃんの口元をクッと上げた流し目。これは大底の女の子が落ちるらしい。


「うん、マスターこの人もあたしの萌える人だからヨロシク」


「ん、それは前からでしょ?」


マスターが笑う。


「キモいよひじり。殴っても良い?」


不機嫌そうに眉を曲げたけど、声はいつもの調子だ。何だかいつも通りなのに、妙な感覚がこそばゆい。


「あーあ、ついにくっついちゃったか、京君ファンの女の子店来なくなるかも」


マスターはからかうようにあたしと京ちゃんを見比べた。


「あたしのファンも減るなー」


「そんな物好き、俺しかいないから大丈夫でしょ」


…京ちゃん、なんか、それ微妙なラインの殺し文句だよ。