カランと木の触れ合う独特の音に迎えられて、薄暗い店内のオレンジの照明の先に足を伸ばす。いつも遠り、マスターの 「お、いらっしゃい」 ってゆうダンディな声が先に聞こえて、あたしは目線を上げた。 え、 ちょっと、やだ、なんで 「…」 口を閉ざしたのは、あたしなのか、『彼』なのか。 「…やっと来たな」 だけど、続いた聞き覚えのある懐かしい声に、あたしは心臓が掴まれた様にクとなったのを必死で飲み込んだ。