これじゃあ遠回しに、『自分のしたい事をしろ』と言っているのと一緒だ。オブラートに包まないストレートな口調なのに、どうしてこの人はこんなに優しいんだろう。


いつも、そう。逆らえない位強引で、だけど引き際とか、駆け引きとか、はみ出したルールを知ってる大人の男。


甘えられたら、楽かな。いや、僚だから、楽にはさせてくれない。きっと。だけど、隣で前を向いてられる自分になる。


一穂と僚はどうしてこんなに似ていないんだろう。一穂はよく『聖は何もしなくて良いよ。傍にいてくれたら良い。』と優しく微笑む人だった。だけど、僚は当たり前のようにそれを弾く。