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「吉沢、これ頼めるか?」

トスンと目の前に置かれたのは明らかにキャリーオーバーな書類の山。


「まじ、ですか」


素直に『はい分かりました』と言う程殊勝な関係でもなくて、あたしは熊のような剛毛な腕の毛をもふもふとさせる木元さんを見上げた。

「うん、すまんね。おまえが一番早い」


だから、頼むな。とヘラッと笑ってあたしの表情なんてまるで気にせずにさらっと後ろ姿を見せてあたしより二年早く入社した先輩の木元さんはデスクに戻っていった。


そのラグビー部顔負けの体格を眺めながら、フゥと深い溜め息を吐く。


単純に、その書類は誤字脱字とか、文章を見直す校正。


いや、だから、量が半端ない。