やだな、気が抜けたのか。鼻の奥が痛い。泣く気なんて全くないから、寸前の所で、目元に広がった熱いものを堪える。


「変な顔」


あ、いつも通りの京ちゃん、


そう思った次の瞬間に、


チュッと軽く音を立てて触れたのは冷たい唇。




「なんで、今」


キスなんかするのよ、とあたしは京ちゃんの瞳を睨んだ。


「うん。ひじりが珍しく可愛いかったから」


クイと口角を上げて京ちゃんは笑う。


「聖の気持ちなんてどーでもいい」


僅かに細めた瞳が優しい。


京ちゃんが何を言おうとしているのか、あたしはその掴みづらい表情から必死に探す。




「だけど、妬ける」



そう言った京ちゃんに、あたしは言葉なんて出ない。