「嘘だよ」

あたしを振り返ってニヒヒと笑う悪戯っ子みたいな瞳。


「あのさ、」


あたしは、何か言わなくちゃ、と思うのに、その後の言葉が続かない。



「聖、」


だけど、それを知ってたみたいに京ちゃんは遮って、あたしを見つめた。


形良いアーモンド形の少しつり上がった猫目の瞳。今は闇で静かに深い色に変える。やっぱり色気のある口元が僅かに動いた。





「久瀬さんが好き?」




その音は聞いた事がない位、静かで。