【a】の路地を抜けてそう離れてない大通り。
見慣れた風景なのに、いつになったら感覚は馴染んでいくんだろう。
いつもここでタクシーを拾って一緒に帰る。





「あ、」


つい、声に出た。


なんかだかな、最近、こんなのばっかり。



『劇的テンカイ期待してます』



笑ったマッキーの声を思い出す。




「噂したからかな~」


京ちゃんがヒュウと口笛を鳴らした。



一台やっと止まったタクシーから降りたのは、





黒いスーツがよく似合う、雑誌から抜け出たみたいなシルエット。そして、その腕にしなやかに寄りかかる女性。