「ダンナ様、今出張でいないから、京に買い物付き合ってもらってるの。」

麻由は屈託ない笑顔を向ける。

あえて触れなかった旦那の話題。普通結婚してる奥さんが男と二人で買い物、なんておかしくないのかな?あたしの考えがおかしいのか。何にせよ、『京だから』と言ってしまう麻由に胸のどこかで嫌なものが渦巻いたのは本当。

あたしなんか、何も言えた義理じゃないのに。




「あ、聖もそろそろ戻らないとね。ごめんね、引き留めちゃって。またゆっくり会おうよ」


麻由は桜色の唇を婉曲に上げて、ツトムにも笑顔で頭を下げる。


「うん、またね」



それを合図に軽やかな足取りで京ちゃんの方に戻って行った。


あたしは、その一連の動作が終わるまで、京ちゃんを見る事が出来なくて、


眺めたのは、後ろ姿だけ。