「どこに、行ってるんですか」
やっと口を開けたのは、周りの景色が見慣れない物になってから。
それまで無言の車内は決して居心地がよくないのに、それでも、この人は
「決めてない」
楽しそう?
いや、表情が変わらないからよく分からない。だけど、僅かな眉の上がり具合とか、なんか雰囲気とか…ってどんだけ見てんだよあたし。キモいわ!!
「…なんだ」
僚が、怪訝な顔であたしを眺めた。
うん、仕方ないね、あたし今確実に変な人だ。
「いや、別に」
いや、別にって、何て中身も何にもないセリフを
「そうか」
会話成立?
もう、なんか、疲れる。

