校長の一服ついで(かどうかわからないけど)

の話はしばらく続いた



「戸田先生、私はね」



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「ここの先生方に生徒達の学力レベルを上げるとか そんなことを期待しとらんのですよ」



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「それよりもね どんなことでもいい 勉強じゃなくてスポーツでも 趣味みたいなことでも なんでもいい 彼らに真正面から向き合ってやって欲しいんですよ」



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「彼らは学校という場所で おそらく今まで一度も まともに大人から相手にしてもらっていない そういう子供達です」



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「そんな生徒達にね 真っ正面から向き合って 相手をしてやって欲しいんですよ」



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「私は 教育っていうものの根本はそういうものだと考えています 学力うんぬんじゃなくって教師と生徒がストレートにぶつかりあう その中で生徒がいろんなことを学んでいくもんだ ってね」



俺は何も言えず黙ってタバコふかすことしかできへんかった



そりゃそうやろ

教員免許持ってるとはいえ

むっちゃにわか仕立ての教師やねんから



「まあ、辞めんのはいつでもできますからね ちょっと考えてみてくださいよ」

と校長は俺の肩をポンとたたいて

タバコをもみ消して

喫煙室から去っていった



長谷部先生が退職することを聞いたのは

それからちょうど一週間後の

終業式だった