翌日は早朝から仕事に行き、重い体で一日を乗り切った。
作業でドロドロになった体で病院に行くわけにはいかないため、ひとまず帰宅する。


シャワーを浴びて服を着替え、身だしなみを整えてから家を出た。
火照った体に冷たい風が触れるのを感じながら、夕陽に染まる道をゆっくりと歩いた。


家から病院までは十分も掛からないけれど、病院に着く頃にはすっかり夕陽が沈んでいた。
この時間なら、美乃は夕食を終えてテレビを観ているはずなのに、ノックをしても返事がなかった。


「美乃? 入るぞ?」


一応声を掛けてからドアを開けて奥に入ると、彼女はベッドで眠っていた。
きっと、昨日の疲れが残っているんだろう。


ベッド脇にある椅子に腰を下ろし、美乃の寝顔を見ていた。
透き通るような白い肌は今にも消えてしまいそうで、恐いくらい綺麗だった。


このままずっと、美乃の寝顔を見ていたい。
だけど……もしかしたら美乃はもう目が覚めないんじゃないかと、急に不安になってしまった。


ゆっくり寝かせてあげたいと思う反面、不安のせいで早く目を覚ましてほしいと考ええしまう。
自分の中の矛盾した思いを押し込め、眠っている美乃の髪に触れながら、早く起きてくれとずっと願っていた。


「ん……」

「ああ、ごめん……。起こしちゃったな」


申し訳なさを抱くよりも、美乃が瞼を開けたことに安堵する。


「……いっちゃん、来てたの。起こしてくれたらよかったのに……」

「いびきかいてる美乃が珍しかったから、起こすタイミングがなくてさ」

「えっ⁉ 嘘っ⁉」

「ははっ! 嘘だよ」

「もうっ‼」


俺は、さっきの不安を彼女に悟られないように、明るく振る舞って誤魔化した。