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撮影当日、俺の心配を余所に美乃の体調は回復し、熱もすっかり下がっていた。
体調が悪くならないとは限らないけれど、ここ最近で一番顔色がよく、そんな彼女の姿に胸を撫で下ろした。


予約の時間に合わせ、美乃と彼女の両親と一緒に車で店に向かった。
美乃はずっと嬉しそうで、昨日から落ち着きがない。


店に着くと、予約していたプランを確認し、ドレスを選ぶことになった。
ドレスが決まる頃には信二もなんとか仕事を抜けて駆け付け、俺も奥でタキシードに着替えて軽くヘアメイクをしてもらい、彼女の支度が終わるのを待っていた。


「なんか、俺よりお前の方がかっこいいじゃん……」


俺を見た信二は、なぜか悔しそうにしていた。


「そうか?」


慣れない格好に照れ臭さを抱いている俺は、褒められてもくすぐったくて素直に喜べない。
しばらくすると、奥の部屋から純白のドレスに身を包んだ美乃が恥ずかしそうに出てきた。


「どう、かな……?」


きちんとヘアメイクをしてウェディングドレスを着たその姿は、“理想の花嫁”そのもので。
俺は彼女に見入ってしまって、なにも言えなかった。


「綺麗だ! めちゃくちゃ可愛いっ‼ もう、世界一可愛いよ! あー、兄ちゃんは幸せだー!」


美乃の両親は、目頭を押さえていた。
信二は、とにかく感激して、賛辞を並べている。


「いっちゃん、どうかな?」


美乃は、なにも言わない俺にゆっくりと近付いてくると、不安げに首を傾げた。