あの後、夏樹ちゃんはご飯を食べて、ちょっと部屋でのんびりしてから帰って行った。
ご飯の時はお母さんがいたから抜きにして、のんびりしてた間はさっきのこと聞きたかったんだろうと思うけど、夏樹ちゃんは聞かなかった。
私、どんな顔してたのかな。
胸は相変わらず痛くて、痛い胸に何で勝手に痛くなってるんだか聞きたくなったくらい。
私が傷つく理由は何処にあった?
ハテナマークのはずだけど、痛いってことは心のどっかではその理由が分かってるんだ。
分かってるのに分かんない。
こんなこと口に出したら燕君は、本当に馬鹿ですね。って言ったんだろうな、前までは。
「残念な子なんだもんね私…」
残念ってことは呆れた?
「燕君が私を好きなのが、何かの作戦でからかってるだけ、だなんて真剣には思ってない」
声に出してみた。
声に出したら気付いてしまった。
私は、“燕君は本当は私のことが好きじゃない”って真剣に思ってたんじゃなくて、思わせてたんだ。自分で自分に。
もしそうだった時に、予防線をはっとかなきゃだから。



