幕末Drug。




『…ゲッ!総司!』

振り返ると、そこには木刀を持って薄く微笑む沖田さんの姿があった。

『稽古、楽しそうだね。…俺も混ぜてくれないかな?』


刹那--…


沖田さんの笑顔の裏に、圧力めいたものが見えた気がした。

そんな彼の問い掛けに、三人は口篭りお互いを見遣る。


『是非お願いします!沖田さんの剣術…もう一度見てみたいよねっ、美穂!』


空気を読まない雛ただ1人が、沖田さんの提案に嬉しそうに頷いた。


『…決定、だね。それじゃ新八、相手して。』


沖田さんが永倉さんを指名する。

名前を呼ばれると、一度ガックリ肩を落とした後永倉さんは沖田さんと向き合った。


『まあ…稽古、だしな。やるからには手加減しねェけど。』


再度、手にした木刀を正面で構える。


『俺も、手加減とか出来ないんだよね…。練習でも結構本気で打ちのめしに行っちゃう人だからさ?』

そう言いながら、沖田さんも木刀を構える。


剣先が下に向いた、独特な構え方…。


斬り合いはもとより、剣道すら学校の授業程度でしかやった事がないけれど、彼が強いのは構え方で何となく分った。