『やっぱ、俺が一番だったみてェだな。』
両腕を組み、永倉さんが満面の笑みを浮かべる。
『ハイハイ。そうやって油断してると、あっと言う間に抜かされるぜ?』
藤堂さんが隣で呆れたように溜息を吐く。
…仲が良いんだな。
お互いの態度について皮肉は言うものの、お互いの実力は認め合っている。
《仲間》…彼等には、そんな言葉がピッタリだと思った。
『バーカ。俺は自慢はしても油断はしねェ主義だっつーの。…で、俺の活躍はどうだった?』
不意に永倉さんの視線が私に向けられる。
『え!?え、えっと……凄いと思いました。』
唐突な問い掛けに在り来たりな言葉しか思い付かなかった物の、永倉さんはいたく感動した様子で口端をぐっと持ち上げた。
『そ、そうか…す、凄かった…か…!!そうだろ!?俺なら、どんな敵が来ても必ず守ってやれるぜ!』
私の簡単な褒め言葉にテンションが上がったのか、永倉さんは心の底から嬉しそうな様子で顔を寄せてきた。
『やっぱ、左乃の棒を吹っ飛ばした所とか良かっただろ?あー…でも個人的には競り合いも中々だったと思ってるんだけどよ。』
私の隣で雛が苦笑いしているのも気にする事無く、マシンガンの如く言葉を並べる永倉さん。
何かこうしていると、永倉さんて…
人懐っこい大型犬みたい。
そう思ったら、自然と笑いが込み上げて来た。
『…面白い人ですね、永倉さんて。』
『そそそ、其れ程でもねェよ…。』
私の言葉に、今度はあからさまに照れた様子で頭を掻く。
『…そうだね、確かに其れ程でも無いかな。』
不意に背後から、冷たい声色が響いた。

