土方さんが、真剣な眼差しを私達に向ける。



『京を守る、警護隊だ。』


その一言に、今度は店長が口を開く。


『…その話、本当か?』


『嘘をついてどーすんの。』


沖田さんが間髪入れずに言葉を繋げる。


『…今は平成。新撰組が無くなってから…100年以上は経っている。それでも本当に貴方達が新撰組だと言うのなら…』


タイムスリップ。
私の頭の中には、その言葉がすぐに浮かんだ。




『…時空の歪みが、開いたって事か。』







不意に、室内に低い声が響いた。今まで口を開かなかった斎藤さんが、そう呟いたのだ。





『…斎藤、どういう事だ?』

『昔、書物で読んだ事があります。此の世には現在・過去・未来が同時に存在し、時間の流れや空間は違うものの、何かのきっかけで歪みが出来ると…交わることの無い平行線が、交わってしまう事がある、と。』

『つまり…今此の状況は、現在と未来が交わっている状態だ、と。』

『そうなります。この者達からしてみれば、過去と現在が交わった状態…となる訳ですが。』


斎藤さんの説明に、土方さんは黙り込む。


『…ホントに未来から来た訳?』


沖田さんが怪訝そうな表情を浮かべる。

『確かに見たこと無い服来てるし、髪の色も違うし…見た所、刀も差してないみたいだから、俺達とは違うみたいだけど。』



言いながら、抜いていた刀を仕舞う。どうやら今の今まで、私達に対しても警戒していた様だ。



『…信じられん話だが、敵意が無い以上斬って終わりになる話では無い。』


近藤さんが、柔らかな口調でそう告げた。


『それに…先程の言葉も気になる。‘新撰組は、100年以上前に無くなった’とな。』


−−刹那、背中に寒気が走った。




そうか…この人達は、自分達の最期を知らないんだ。


でも…




−…何て言えば良いのだろうか。




『近藤さん。』





ふと、斎藤さんの隣立つ大柄で筋肉質な原田さんが口を開く。