届くわけがないと知りながら叫んだ。






…だけど、いつまで経っても攻撃はあたしに当たることはなかった。



恐る恐る目を開けてみる。





すると、あたしを仕留めようと振り上げられた右爪は空中で止まっていた。



まるで一時停止をしてるみたいに。






な、何で!?



…あたしが「いや」って言ったから止めてくれたなんてそんなことあるわけないよね?



明らかに数瞬前まで殺る気満々だったもんね。




じゃあ、何で…?




その怪物は、目はなかったけどあたしを見下ろしているような気がした。




ていうか、あたしを見つめてる…?








「なに…!?何なの…あんた…」



『ア…タハ…ワレ…ノ…ウミノ……』





は!?



しゃ、喋れるの怪物って!?



…まぁ口っぽいのはあるから…。





じゃなくて!!




と、とにかく、怪物がよくわかんないけど動けない…てか動かないわけだし!!



逃げるチャンスよね!?




…とは言っても足に力入んないけど!!









ヒュルルル~。



ズサンッ!!!





えぇ!?



こ、今度は何!?




急に空から細長い何かが墜ちてきてこの中村園の庭に突き刺さった。





あたしはマジマジとその突き刺さったものを見た。





長い柄。



それに刻まれているきめ細やかな装飾。



飾り布に、先端には橙色の透き通った水晶らしきものがあしらわれている。







コレは…まさか…。








「ま、魔法の…つ…杖…?
…な、なんちゃって」







…うわ。



呟いてる自分がハズい…。