怪物は、私たちを襲ったところからあまり動いてはいなかった。




また何かを探すような素振り…。





この怪物…一体…!?








『コ…ココガ…ワ…レラ…ノ…』



「え…っ!?しゃ…しゃべった!?」






驚きのあまり心の声を口に出していた。





ヤバっ!!



そう思った時にはもう遅くて、怪物が私の存在に気づいてしまった。





再び向けられる闘争心と鋭い爪。





けど…この速さなら…!!



避けれるっ!!






私は振り上げられた爪とは正反対の方向に飛んだ。



さっきはかすってしまったけど…今度は完璧に避けれた。








いけるっ!!



これなら、騒ぎを聞きつけて駆けつけてくる警察官が来るまで時間を稼げるかも…!





近所の道場に入門してから9年くらい。



多少のブランクはあるけど、運動神経にはちょっと自信がある。



まさかこんな形で役に立つとは思ってなかったけれど…。





そんな甘いことを考えて攻撃を避けていたら、直ぐに危機が迫っていると気づかされた。







ドンッ!!




背中が、何か堅い物にぶつかった。




振り向くとコンクリートの壁。




公園内に設置されている公衆トイレだった。





し、しまった…っ!



後ろ全然確認しないで避けてたから…っ。



追い込まれた…!!






目の前に立ちはだかる怪物。



左右から鋭い爪が降りかかる。




後ろは壁。






に、逃げられないっ…!!




私、こ…こんなところで……死んじゃうの…!?






ウソ…。



イヤだ…!



私…っ!!




死 に た く な い ―