「〝六虚兵〟は、大抵、〝Hope Lights〟の使い手を消し去る時にしか現れなかったんだ。
その圧倒的な力を有して…彼らの手で何十人もの使い手が、殺された。楓くんの仲間や妹さんもね。
大概、前線に出てくるのはあのツルギって男と、中村さんと前永隊長が会ったあの女、カヤってヤツらだけだったから。他のメンバーはほとんど知らなかったんだ」



「カヤって言うんだ…あの女の人…」



「そっか。月島先生だって知らなかったんだな…。まぁ、でも、知ってて教えられてたとしても、結果は変わんなかったと思うけど。実際俺なんか足元にも及ばなかったし」







そう、周りを和ませるかのようにソラは笑っていた。



けれどその笑顔はとても苦しそうで…。







「ただ…俺、知ってるんだ…」



「知ってる…?何をですか?」



「キリトのことさ…。
いや、キリトだけじゃない。歴史館で会った館長のことも、リナにそっくりな桜月 苺のことも、森良町のことも…。
俺は、知ってるんだ。
記憶がなくても心の奥底で覚えてるんだ。
けど…何で俺がそれを知っているのか…。それがわかんなくて」






思い出せるのは〝知ってる〟という事実だけ―…。







「ソラ、いいよ。ムリしないで…」





リナがソラの震える手をそっと握り締めていた。