「貴様…!?いつの間に…!?」



「はああっ!!」





下から上へ。



一気に薙刀を降り上げる。




ザンッ!!







「く…っ!」





私の刃はカメリアさんの肩をかすめただけだった。





やっぱり、この傷では…満足に体が動かない…っ。








「ぐぅ…!!ああぁー…っ!!」



「え…!?」






カメリアさんは苦痛で顔を歪めている。



たった、肩をかすめただけの切り傷なのに…。




血だって、私よりも全然…。






血…?



血が…流れてる…!?



だって、カメリアさんはイーヴルなのに…。





そうか。



····
イーヴルだから。



〝Hope Lights〟は、イーヴルの唯一の弱点。




だからあんなにも苦しんで…。








「ぐ…っ!!貴様…っ!!なぜ…っ!?なぜ今俺にトドメを刺そうとしない!?」







確かに、苦痛に満ちたカメリアさんは、隙だらけ。




けれども、私は。




私は――。









「あなたにトドメを刺してしまえば、みんなのところへ戻る手段がなくなるでしょう?」



「そんなもの…!!魔法使い共に頼めば済む話だろう!?」



「それは…」



「つくづく甘いヤツだな貴様はっ!!虫酸が走るっ!!」






ゴァア!!!




突如、カメリアさんは風を纏い始めた。



けど、その威力はさっきまでとは比べものにならない。




砂を、海水を巻き上げ、竜巻を起こす。