「チビの相手はごめんだぜ。てめーら遊んでやりな」





どこからともなく聞こえたツルギの声。



その言葉を合図に3体のイーヴルは一直線に楓くんに襲いかかる。






「か、楓くん!!」



「おっと~。人の心配してる場合か?」






いつの間に私の後ろに!?



ツルギの右手に握られた短剣が私の首筋に向けられる。






ガキィンッ!






「く…っ!」






なんとか間に合った…!



とっさに発動させた薙刀の杖で短剣を受け止めた。






「へぇ。いい反応するじゃん。ま、武器が薙刀でよかったな。その長い柄がなきゃ今頃死んでたぜ、お嬢ちゃん。けど俺…両利きなんだよな」





ツルギの左手にはもう一つ短剣が握られていた。




か…かわしきれな…!!






バキィ!!




短剣が空を舞う。



私の後ろから柳人の拳が伸びていた。







「真っ先に女を狙うヤツなんて初めて見たぜ」



「俺は男女差別しねー主義なんだ」






剣を一本振り払われても不敵に笑うツルギ。







「小梅、ここは俺がやる。お前は三笠の援護に行け」



「えっ!?でも…っ!!」



「お前はアイツと一度一緒に戦ってんだろ。俺はアイツとは合わねえんだよ」







楓くんに視線を向ける。



確かにあんな巨大なイーヴルを3体相手にして…防戦に追い込まれていた。







「……わかりました。気をつけて下さいねっ!!」







柳人たちと少し離れたところで楓くんは3体のイーヴルを相手にしていた。




やっぱり、私たちの情報がインプットされてる…っ!



楓くんの武器が遠距離向きだってことも。



3体のイーヴルは間合いをとらせないように次々とその強靭な爪で楓くんを狙っている。




倒すためには、私が間に入って楓くんに充分な距離を稼がせないと!!




私は薙刀を構え、走る。






「…少し場所を変えようか」






フッと。



私の視界に長い黒髪の男性が入った。






次の瞬間。



私は、歴史館の前ではなく、浜辺に立っていた。