「…森良…町…」



「森良町がどうかしたんですか?ソラ」



「あ、いやぁ…。なんか、どっかで聞いたことあるなーって思って…」



「まぁ、苺市に合併する前の町名ですからね。聞いたことくらいはあると思いますよ。
今でも〝苺市森良町〟として名は残ってますし」



「そうなんだけどさ。…なんて言うか……そう…じゃなくて…。町の名前じゃなくて…」






そう呟いてどこか頭を抱えてソラは考えこんでいた。








「だ、大丈夫ですか…?」



「…あぁ。大丈夫。うん。…気のせい…か」



「ちょ…っ!ちょっとみんな!!こっち!こっちにきてくれ!!」






奥の方から楓くんが叫んでいた。








「んだよ。全く…うるせえガキだな…」



「そんな言い方はよくありませんよ、柳人」



「何々ー?どーしたの楓くん?」



「あ…中村さん…っ!こ、これ…っ!!」






楓くんが指を指した方向。



そこには一枚の肖像画が飾られていた。



着物姿の女の子の姿。



歳は私たちと同じくらい。



髪が私と同じくらい長くて。




そしてその顔は――。







「え…っ!?これ、リナ…!?」






そこに描かれた少女はリナそのものだった。