夜は11時を回っていた。
リビングには俺とリナの二人だけ。
リナはいつものように俺の隣に座ってテレビを眺めていた。
「…あたし…もう寝るね。おやすみ、ソラ」
パシッ。
俺は自室に戻ろうとするリナの手を思わず掴んでしまった。
「ソラ…?」
「…リナ…今日何かあったのか?」
「え…っ?どうしたの急に…。
…何も…ないよ?」
ウソつけ。
声、震えてるじゃねぇか。
「リナ、わかってるから。
…何があったんだ?」
「……ソラは…っ」
「ん?」
「ソラは…もし…今、記憶が戻ったとしたら…どうする?」
記憶…。
…そうか。
どこのどいつに何言われたのか知んねえけど…。
「例え記憶が戻ったとしても、俺は俺。リナはリナだ。何も変わらない。俺はずっと」
お前のそばにいる―。
そう言葉をつなげようとする前にリナが俺に抱きついてきた。
「…ありがとう、ソラ。安心した。…おやすみっ!」
そう俺の肩にうずくまりながら呟くと少し照れたように笑って部屋に戻っていった。
さっきまでの痛い笑顔とは違って少し柔らかい笑顔。
…てか、思いっきし胸当たってたんだが。
俺にも我慢の限界ってもんが…っ!!
それにしても…リナの記憶のこと知ってるヤツなんて数える程しかいないのに。
誰なんだ…!?
リナを傷つけやがって…っ!
見つけたらタダじゃおかねぇぞ!!
…だからリナ、安心しろ。
俺は君のそばを離れたりはしないから。
初めて逢ったあの日、約束したように。
俺はいつまでも、君を守るよ。
例え記憶が戻って自分自身を知ったとしても。
この気持ちだけは決して変わらない――。

