「わかったか小梅…」





そう言ってガイアさんは私の顎に手をかけたが、私はその手を全力で払いのけた。







「申し訳ありませんが、あなたの女にはなりませんし、なる気も全くもってありません。それと、今度また仕事をサボって私の親友や街の人たちを危険な目に合わせたらその時は覚悟しておいて下さい。私、容赦はしませんので」



『…メッチャ殺気だってるなー小梅。お嬢様の域超えてるぞアレ』



「ガイアの申し出を断るなんて綾小路さんにしかできないね」



「だから聞こえてますってば」






振られることを予想してなかったのか、ガイアさんはすごく驚いた顔をしている。




なんでこの人、そんな自信満々に言えるんだろう…。



吸血鬼はモテるとか思ってるんでしょうか?



確かに整った綺麗な顔立ちではありますけど。




髪の毛もサラサラですしね。



リナが見たら絶対うらやましいって叫びそう。







「なっ…!!貴様、何言」




ドタドタドタドタドタドター!!




スゴい勢いで廊下を走る音にガイアさんの言葉がかき消されて聞き取れなかった。






この走り方…。



イヤな予感しかしない…。






客間のドアが勢いよく開いた。







「小っ梅ちゃーんー!!ボクの可っ愛い可愛い姪っ子ちゃーん!!」





中年の小太りな男性が私を見て抱きついてくる。



私はそれをいつものように瞬時にかわした。






全く、吸血鬼の次は変態を相手にしなきゃならないなんて…!!



…何なんですか今日は!!