『また店に来てよ。』 『…うん。』 『じゃあ。』 男は手を振り人混みへ消えていった。 早苗ちゃんからは一気に笑顔が消えた。 『どうした?』 『私、あの人に騙されたの?』 ………? 『どういうこと?』 早苗ちゃんは昔ホストクラブに行ってさっきの男を指名した。 毎日通ってそこでいくら使ったかわからない。 そのうち男は金を貸して欲しいと言い出してそのお金は返してもらっていない。 でも借用書を書いてもらっていなかったから返してといっても男は証拠がないと返さなかった。