あの人達の……山崎さん達のおかげで、私は変わることができた気がするから。



でも今は京都には行けない。



たった1日の思い出が、鮮やかに蘇ってくるから。


懐かしくていい気もするけれど……



「うん、行かない。行けないよ……」



行ってもただ思い出して、きっと目に見えない過去の時間に浸りながら過ごすだけじゃない?


また自殺を考えてしまう可能性もないとは言えないんじゃない?



だから今は、この場所から動かずに、ただ思いを馳せていたい。



麗奈は悲しげな私の瞳を見たのか、静かに息を吐いた。

そして微笑みながら、口を開いた。



「そっか。……だったら内で決まりね」


「うん……って、まだ決まったわけじゃないし!」


「早速、紙に書かなきゃ!」


「ちょっと美陽まで~!」



進路選択で悩む今。

友達と相談したり、からかわれたりして。


そんな中で、悩めることが何だか一瞬幸せな気がしたのは、私だけかもしれない。