でもそんなに呆れているなら、何で止めなかったのだろう…?



「どうして止めなかったんです…?」


「薄々感づいちゃいたんだよ。
奴が勤皇派に傾き始めてたことはな」


「知っていたなら何故…!」



"尚更止めなかったんですか!!"


勢いに任せて、そう言ってしまいそうになった。

でも言えなかった。


土方さんは、これからの新選組がどうなっていくのか、悟っているのだろう。


どこか不穏な空気の漂う部屋に、飲み込まれそうになる。


私にはこれからの新選組なんて、見当もつかない。

先のことなんて、どうなるか分からないから。



「伊東さん達は、これからどうなさるんですか?」



重い空気の中、私は質問を続けた。


伊東さん……伊東 甲子太郎は、江戸に居た頃、平助の通っていた道場の道場主だった。

そして平助が新選組の隊士であることを利用し、伊東さんが新選組に入隊したのは、元治元年のこと。


今から三年前、池田屋事件のあった日から四ヶ月経った10月だったと思う。