私は思わず笑みをこぼす。

こうして思い出話をするように、語れることが嬉しくて。


山崎さんも笑ってくれた。

それも嬉しいんだ。



「こんなに雪かぶっちゃって…!」



ふと視線を織さんのお墓に移し、上に積もっていた雪を払う。

手が痺れるほど冷たい。



「さんなんさんの方も……積もってやがる」



私を見て、土方さんが山南さんのお墓の上に積もっていた雪を、静かを払った。


土方さんが珍しく、素直になった瞬間だった。

それがおもしろくて、つい笑ってしまう。



「"さんなん"さんなんて、珍しいですね! 土方さん」


「珍しくなんかねぇ! …と思う」


「図星ですかぁ? 相変わらず照れ屋ですねぇ」


「うるせぇっ!」



山南さんが脱走して、切腹した日の夜、近藤さんと土方さんは二人で男泣きしたそうだ。


近藤さんはいつも素直だけど、土方さんがそんなに素直になれるなんて……

珍しくて、失礼だけど笑えてくる。



「何をずっと笑ってやがる、総司!」


「えっへへ~! さぁ、何ででしょうかね~?」


「総司っ!」


「あ!」



地面に落とした傘を取った時、雪が止んでいるのに気がついた。

土方さんも動きが止まって、私はその隙を窺って逃げようとした。


でもその時――…