「織さん……嫌ですよ…!」


「高蔵…! おい!」



織さんが目を瞑って、遺言を言った後、私達は尚、呼び続けた。

でも体が何か変だった。

それに初めに気づいたのは、土方さんだった。



「透けて…んのか…?」


「え……?」



土方さんの言葉に私は驚くしかなかった。

織さんの体は、だんだんと薄くなっていって、透け始めていた。



「織さん……!」



私は何度も何度も、呼び続けた。

ついに、私は彼女の腕を掴もうとした。


でも……



「―消えた……」



透けるどころか、体は一瞬にして消えてしまったんだ。

着物と刀だけを残して。


織さんは、未来から来たと言っていた。

それが本当のことだとでも、言うかのように……



「本当に…あいつは未来から来やがったのか?」


「本当のことでしょう……織さんは嘘なんか言うはずがないですから……」


「そりゃあそうだけどよ…」



土方さんは半信半疑もいいところで、私の言葉に頷いた。


何秒、何十秒か、私達はただそこに留まって、織さんがいた場所から離れなかった。