私が山南さんの介錯をしたから、余計にそう思えて。


数日間、私は部屋に山崎さんしか入れなかった。


泣きそうだったんだ。

でも、気持ちとは正反対に、涙は出なかった。


それがどうしようもなく苛つかせて、悟ったのか、山崎さんは話しかけてこなかった。



「山南さん……どうして貴方は――…」



―隊を抜けようと、思ったのですか…?



「どうして貴方は――…」



―みんなを置いて、一人で先に逝ったのですか…?


貴方にかけたい言葉は、疑問ばかりです。

この気持ちは、どうしたらいいのですか?


答えて…くださいよ……



「貴女もです、織さん」



貴女が与えていった、この変な気持ちは何ですか…?

教えて…くださいよ……



「答えてほしい、教えてくれだの言っても、仕方ないですもんね」



やっぱり考えるのは、私に似合わない。

しかも、墓前でなんて、怪しい目で見られますから!


ふふっと、表情には出すけど、声に出さなかった。



「総司、まだいたのか」



後ろから、聞き慣れた人の声がした。

振り返ってみれば、兄のような存在の人だった。