「私は知っているんですからね! 何もかもを!」


泣きたい気持ちを抑えながら、沖田さんにそう言った。

私はこの時代も、この先の時代も、ある程度のことは知っている。


だから結末も、知っている。


これから新選組がどうなっていくとか、誰が亡くなる、とか……

未来を知っている私に、タイムスリップは少し辛いものだったのかもしれない。

でも、多くの人と関わることができた。
それだけでも十分、よかったと思う。

自分の生きる時代の人も、この時代の人も、私は好きだな……


「貴女は強いおなごですね……」


静かになった部屋に、小さく沖田さんが呟く。

私と沖田さん以外、もうここには誰もいないみたい。


「私は強くなんかないです! 沖田さんの方が断然強いですって!」


答えの分かりきった質問に、私は当たり前のようにそう言った。

でも沖田さんは、何故か笑っていた。


「意味分かって言ってます…? 私の言ってる"強い"は、剣の方じゃなくて…気の方ですよ」

「あ、気ですか…」

「やっぱり、そう理解してましたか」