ひとひらの願い―幕末動乱―

泣くな、そう言い聞かせても、逆に涙は止まらずにさらに流れていく。


「おいおい、ここで泣くのかよ…」


副長は相変わらずの私に、呆れているようだった。

でも、呆れられてもいい。


「泣き虫ですねぇ」

「そこは女なのな」


あれこれ言われたっていい。

この時代を生きる一人の者として、新選組の隊士として。


世界に絶望していた私を救ってくれた、この時間。

居場所をくれたみんなに、感謝してもしきれないぐらいなんだ。


『ありがとう』だけじゃ物足りないくらい。


ここに来れて、本当に私は幸せ者だ――…


「―さ、出るか!!」


副長がそう口にすると、みんなは祇園会所の入口から出て行く。


…と。

そんな気持ちに浸っている場合じゃなかったんだ。



これから、戦が始まる。

みんなの武運を祈りながら、私も外に出た。


「近藤さん。じゃ、また後でな」

「あぁ。トシ、頼んだぞ」


局長と副長は、それぞれ言葉をかけた。

ここから二手に分かれて、長州などの志士が密会を開く場所を探しにいくことになった。