局長には悪いけど、私は副長に賛同します。


怒られてもいい。
覚悟あっての言葉だから。


「会津藩を待っていたら、きっと奴らも逃げますよ?」

「うむ……そうだな」


脅すように言ってしまったけれど、後悔はしてない。

たとえ、新選組を動かした言葉だとしても。


「そうですよ、近藤さん!」

「局長、もう出ましょう!」


私に続いて、沖田さんや藤堂さんが次々とそう言った。

いいこと言った! 自分!!
…なんて、気を緩めてもいられないかな。


「トシやみんながそう言うのなら……」


局長が決断すれば、この戦いは始まる。
いや、もう始まっているのかもしれない。

私はこれが終わる時まで……生きていられるのかな……



「―新選組、出動しよう!!」



局長の声が、静かな祇園会所に響き渡った。

みんな立ち上がり、声を上げる。


「近藤さん、隊を二分するか」

「あぁ、トシ、頼んだ」


隊を二分すると言って、局長の隣に移動し、懐から一枚の紙を取り出した。

それには、隊士の名前が書かれているのだろう…と、察しがついた。