「あぁ、信じてない。やけど……」


しれっと言う山崎さんの表情は、悲しいものへと変わっていった。

絶対に人前では見せなさそうな顔。


どうしたのかな? 山崎さん-…


「―昔から、人の心が読めるんや。別に読みたいと思って読んでるわけやない。勝手に頭に入るんだけや……」


『人の心が読める』――…


そう告白した山崎さんは、バタッと後ろに倒れ込んだ。

山崎さんの辛さは、きっと人には分からない。
…私にも、分からない。


「時に嫌になるくらいや……」


心を読めば、喜怒哀楽……様々な心があるはず。

その中で一番嫌だと山崎さんが思うのは、きっと"哀"――――…


「山崎さんって、優しい方なんですね…」


そんなこと、知ってるって。
ずっと心の中で分かってたって。

それなのに口にする私、変なの-…


「身には気をつけろよ。何かと物騒やしな」


そう言うと、彼はむくっと体を起こし、立ち上がった。