「…っていうか、その"あんた"っていうのやめてくださいよ!」

「そっちが自己紹介してへんだけやろ。…名前は?」


そういや私…自己紹介してなかったっけ。

何かこの人、外見はタイプだけど、話しにくいかも…


「私はたった今、副長の小姓になりました、高蔵 織です!」

「……」


あ~れっ?

そういえば今……空気と化している人がいるような、いないような-…


「山崎。早く言ってこい」


…すごく怒ってる、土方さんが---…


「はっ。申し訳ありません」

「分かってりゃいい」


山崎さんは土方さんに対しては、何故かフツーの敬語。

…何者なんだ? この人―――

それから山崎さんはどこかに消えた。
彼を見届けた土方さんは、私に向かって口を開いた。


「茶だ。急げ」

「は、はい…」


茶に急ぐとかあるんですかと思いつつも、私は命令を聞くことにした。


でも、普通に運んだ方がこぼれなくて済むのでは!?

…とか何とか、やっぱり思いつつも、茶を入れに台所へと足を運んだ。