Love story's

「希咲、そろそろ部屋に戻ろうか。テスト範囲、まだ半分くらい残ってるだろ?」


コーヒーを飲み終えた俺が訊くと、希咲はまだ不貞腐(フテクサ)れた顔をしていた。


「もう勉強したくない……。テスト範囲は広いし、凪兄はスパルタだし、さっきだってムカついたし……」


ムッとした表情の彼女に、苦笑してしまう。


「希咲」


「……何?」


「機嫌、直して?」


優しく問い掛けると、希咲は膨らませていた頬の空気を抜いた。


俺はそんな彼女の顔を覗き込みながら、フッと微笑んだ。