Love story's

「凪兄?」


思い出に浸っていた俺を呼んだのは、誰よりも大切な子。


振り返ると、希咲が嬉しそうに笑っていた。


「いい匂いがするな〜って思って降りて来たら、予想通りだった」


「勉強を頑張ってる希咲に、ご褒美だよ。それに、そろそろ疲れただろうと思ってさ」


「うん。あのさ……」


「ん?」


「中々戻って来ないから何してるのかと思ってたんだけど、こういう事なら許してあげる」


希咲は嬉しさを隠すように庭に視線を遣って、ほんの少しだけぶっきらぼうに言った。