Love story's

「だから、嫌だったんだ……」


一呼吸置いてから呟いた健一の声は、街を覆う雑踏に掻き消された。


「だって……待ち合わせしてみたくて……」


「わかってるよ。だから出来るだけ早く来るつもりだったのに、お前があんなに早く出るから……」


健一は小さく舌打ちをして、またため息を落とした。


「お前は黙ってれば可愛いんだから、ナンパのカモなんだよ」


「なっ!!黙ってればって……」


いつものように切り返す最中(サナカ)、ハッとして言葉を飲み込んだ。