レンズ越しの君へ

「……どうして欲しい?」


唇を離した廉が、意味深に笑った。


「え……?」


あたしは意識が朦朧としていて、何も考えられない。


「俺が欲しいか?」


廉はあたしを見つめながら、ゆっくりと顔を近付けて来た。


もう、ダメ……


瞳に涙を浮かべながら廉を見つめ返すと、彼は不敵な笑みを見せた。


「上等……」


そして廉はそれだけ言うと、あたしの唇をまた塞いだ。


彼の舌が、あたしの口腔をゆっくりと動く。


苦しくて…


だけどそれが心地好くて、瞳にはさっきよりも涙が溢れていた。


廉の唇が、あたしの首筋にゆっくりと移動する。


彼はあたしのドレスのファスナーを下げながら、そのまま首筋を舐めた。


「……アッ……っ……!」


あたしの瞳から、一筋の涙が零れ落ちた。