レンズ越しの君へ

「澪」


名前を呼ばれても、顔を上げられずにいたけど…


「違うんだろ?」


そう言った廉の声がすごく優しくて、あたしは弾かれたように顔を上げた。


彼は少しだけ悲しげに笑うと、ゆっくりとあたしに近付いて来た。


「悪かった……」


眉を寄せた彼が、あたしの頭をポンポンと撫でる。


廉は悪くないのに……


そう思ったあたしから、自然に言葉が零れ落ちた。


「ごめんなさい……」


涙混じりの声で言った言葉は、あたしを益々泣かせた。


「澪のせいじゃねぇよ……」


呆れたように笑った廉は、指先であたしの涙をそっと拭った。


「中に入るか……」


彼に促されて、あたし達はチャペルの中に入った。