レンズ越しの君へ

「……じゃあ、やめるか?」


程なくして、廉が冷たく言い放った。


「え……?」


予想外の言葉に返す言葉が無くて、黙ったまま俯いてしまう。


「お前が結婚したくないなら、無理強いする訳にもいかねぇだろ……」


いつもはこっちが戸惑うくらい強引なくせに、廉は呆れたようにそんな事を言った。


「何なら……しばらく距離を置くか?」


「……っ!」


とうとう涙を堪え切れなくなって、瞳から零れ落ちた雫が地面を一気に濡らしていった。


「仕方ねぇだろ?お前が納得出来ねぇなら、結婚したって意味ねぇよ!」


「違っ……!」


違う……


そうじゃないのに……


否定したいのに、溢れ出す涙とやり場の無い感情が邪魔をして、上手く言葉が出て来ない。