レンズ越しの君へ

廉はチャペルの前で立ち止まって、離れて歩いていたあたしを見た。


「お前、怒ってんの?」


違うよ……


そう言いたいのに、ユイさんの派手な外見と馴れ馴れしい態度があたしの頭の中を駆け巡って、口を噤んでしまう。


やり場の無い気持ちに、自分でも戸惑っていた。


だけど、それを上手く言葉に出来ない。


「ちゃんと言わねぇとわかんねぇよ……」


廉は眉を寄せて、ため息混じりに言った。


彼のその言葉が、やけに冷たく感じて…


「こんな気持ちのまま、結婚なんて出来ないよ……」


あたしは、思わずそう呟いてしまった。


だけど、本心じゃない。


心のどこかで思っていたんだ…。


廉なら引き止めてくれる……


って…。