レンズ越しの君へ

「廉……。ありがとう……」


あたしは、涙混じりの声で小さく言った。


心の片隅で自分の事を情けなく思いながらも、あたしの中では嬉しさが込み上げていく。


「ごめんなさい……」


そんな気持ちを抱えながら、両親にそう呟いた。


何に対して謝っているのか、よくわからないけど…


一番は、“家を出てから3年間、一度も連絡をしなかった事”に対してだったと思う。


父は何も言わずに俯き、母は泣いているだけだったけど…


両親との間に出来た溝が、ほんの少しだけ埋まったような気がしていた。


「ごめんなさい……」


廉は何度も謝るあたしを宥めるように、あたしの背中をポンポンと叩いていた。


隣にいる嵐は、ずっと笑みを浮かべていた。