レンズ越しの君へ

『家族なんだから、ちゃんとわかり合える』


廉の言葉なんて、“綺麗事”だと思っていた。


こんな両親なんかに何を言っても無駄だって、最初から思っていた。


ずっと、そう思っていたけど…


それは、違う。


あたしは、『躾だ』と言って自分達の事を正当化する両親に対して、いつからか諦める事を覚えていた。


『あたしが反抗しなければ……』


自分自身にそう言い聞かせて、気が付けば両親とわかり合えない事を当たり前だと思っていた。


両親だけのせいにして、あたしはずっと逃げていたんだ…。


だけど…


廉は、そんな両親とずっと向き合う努力をしてくれていた。


あたしが廉に感じていた違和感や不安は、彼がずっとここに来ていたからだったんだ…。