レンズ越しの君へ

あたしと廉が初めて実家に来たあの日から、彼は時間が許す限り何度もここに足を運んで…


根気強く、両親と話をしてくれていた。


最初は廉の事を門前払いしていた両親も、次第に彼の話に耳を傾けるようになった。


何度も話し合った末、両親があたしに会って謝りたいと言い出した――。


今までの成り行きを聞いて、ただただ驚きを隠せなかった。


「……廉が、お父さんとお母さんに頼んだんじゃなかったの?」


あたしが訊くと、廉は首を横に振った。


「澪の両親が、『会いたい』って言ってくれたんだよ」


嬉しそうな嵐。


申し訳なさそうな両親。


そして、優しく笑う廉。


あたしの瞳に涙が溢れ、目の前がゆっくりと滲んでいった。